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[コメント] 誰も知らない(2004/日)

内容は人間ドラマが主軸なのですが、私は社会問題の方で観てしまいまして、そのキツさにめげてしまって適切なコメントを入れることが出来ません。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 現在色々と問題になっている家庭内暴力の問題。一昔前は家庭内暴力と言えばもっぱら子供が親に対するものばかりが喧伝されていたが、実際はもっと根が深い。子供から親に対するものよりももっと深刻なのが親から子供に対する暴力。昔から行われてもいるのだが、経済強者である親が隠せば表面に出難いと言う側面がある。ただそれも近年になってからやっと法的なメスが入れられるようになり、その実態が明らかになった。特に近年は親が親として機能できないというか、親としての役割を簡単に放棄してしまう人がいる。現在大きな問題になっているのがこれ。現在ネグレクトと呼ばれるものである。遺棄、衣食住や清潔さについての健康状態を損なう放置(栄養不良、極端な不潔、怠慢ないし拒否による病気の発生、学校へ行かせない、など)のこと。ネグレクトされた子供は成長過程に大きな阻害を受けてしまうとも言われるが、それをまっ正面からとらえたのが本作である。

 ここでの子供たちは親(ここでは片親の母)に愛されていないわけではない。それなりに気もつけられてもいるが、それよりも自分の方を優先してしまったため、結果的に放っておかれてしまった。ここで母親のしたことは虐待ではない。だが、彼女は完全に子供達を無視した。これほどの虐待はない。結果として子供達は人間としてではなく、動物として生きることとなった。

 これは大変な問題でありながら微妙さも併せ持つ。80年代はこう言う場合、子供を施設に入れにくかったのだ。ネグレクトしていても完全に親権を放棄したのではないし、必要な金を送っていると言う事実もある。更に住んでいるのが孤立したアパートで、子供たちは他に頼れる人を持たない。気づかれ難さも手伝って、彼らは子供だけで生きてきてしまった。

(評価:★3)

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