[コメント] 誰も知らない(2004/日)
元になったあの事件が題材であれば、「お涙頂戴映画」でも「教訓的映画」でも幾らでもできたはずだが、あえてこのような淡々とした切り口で描いたことにとても好感を覚えた。少なくとも、事件をニュースで知ったときに「もし私がこれを元に映画を撮ったなら……」などと考えたストーリーよりも100倍良かった。
また、主人公の彼も大変良かった。賞を取ったと聞いたときは、「どうせタランティーノの日本贔屓目だろう」などと、各方面に失礼なことを考えたものだったが、実際に彼の「目」を見て、惚れた理由が十分理解できた。いや、主人公だけでなく、子供達全員が、皆、揃いに揃って良かった。しかも、子どもの素顔・自然体をさりげなく撮っているように見せて、実は無駄なシーンがほとんど無く、絶対的に進行上必要なセリフや演技をきちんと織り込ませている。その手腕についても脱帽した。
と、絶賛しておいて−0.5させていただいたのは、カメラの目線や映像編集に若干クセがあり、少し好みと合わなかったから。といいつつも、靴のアップをしつこい位撮っていたのは、「靴」の描写を通じて彼らの生活や嗜好を描いていたのか、などと感心する部分も多々あり、脚本と共に映像でも構成がかなり練られているなと感じた。
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以下は本当にどうでもいいことなんですけど(汗
とあるシーンで、私の母校の制服を着た女子学生がスクリーンに大映しになって横切って行ったのにはびっくりした(思わず巻き戻したくなった)。ちょっとでもメディアに露出するだけでかなり五月蝿く言われる学校だったのに、いいんっすか!? ダッサダサのサブ鞄や校章までしっかり映っていましたが……。
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さらに2週間後に追記。
皆さんがコメントで書かれている通り、あとになってジャブがくる映画でした。観た直後は強烈な感情の起伏が無かったのに、なぜかこの晩、ひどくうなされました。まるで何度掛け直しても正しく掛からない電話を延々とかけさせられているような、答えの出ない辛い夢でした。この現象が私だけのもので無かったことに、少し驚き、感動した次第。
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