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[コメント] 誰も知らない(2004/日)

上司にしたくないナンバーワン→是枝裕和
jollyjoker

是枝作品はリアルタイムでなく、作品をさかのぼってみてきた。彼の言いたいことはすごくわかる。世の中や生きることにモヤモヤしていて、子供や、大人になり切れない人間の葛藤を描いて上手い監督だと思う。

ただ、是枝は、「この人はこう思っている、だろう」「こいつはこういうスタンス、だろう」「この子はこう感じている、はずだ」と、とても他人行儀なのだ。誰もが悪い人ではないが、では何が歯車を狂わせているのか。その判断はすべて受け手側に委ねられている。是枝はとても冷静なのだろう。

表現者は、自分はこう思う!というものを前面に出して作品を世に送りだすが、是枝は、「判断するのはあなたです、いかがですか」という提示者なのだ。

是枝は答えを出さない。バクハツしない。

受け手は、これは黒、これは丸、というものに共感したいのに、是枝の提示する、並べられた事象は常にこちら側に判断をゆだねられる。

作品を通して考えてほしいと願ってのことなのかもしれないが、突き放された感じがして、落ち着かないのは事実だ。上手いと思うし、確かに常に考えさせられる題材を投げてくる。

この案件お任せします。責任も自分でとってね。これじゃあ部下は戸惑うよ。

是枝裕和は映画監督というよりも、キライじゃないけど、心を通わせられない総務部長だ。

(評価:★3)

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