[コメント] 16歳の合衆国(2003/米)
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惜しい。もしもリーランド(ゴスリング)の殺人が正当防衛や事故という描き方であったなら、素直に共鳴できたと思う。でも、幾らリーランドなりの16歳の少年なりの理由を付けたところで、この映画の脚本の場合、立派な殺人であり犯罪。「モンスター」なんかを観ても感じたのだが、時に監督は感情移入するあまり自身の作品に公平性を欠いてしまいがち。
もちろん監督は作家なので、自身の作品を自由に扱って良いのだが、そこに”殺人”という(しかも未成年)が絡む場合は慎重であって欲しい。 欧米に限らず、世界中で未成年による犯罪が氾濫する昨今では,尚更影響力のある映画という媒体を通じて適当には扱って欲しくない。
冒頭でも述べたように殺人者であるリーランドを周囲が暖かく見守りがちなのが非常にナンセンス。クラインのラストに至る恨み方も極端ではあるものの、遺族にしてみれば怒り心頭であるはずで、世間も似たような反応が自然。
特に被害者が弱い立場のハンディキャップのある少年(ウェルチ)なので世間のリーランドに対する怒りはメディア論争やデモくらいあってもおかしくない。 なのでチードルらの変に優しい対応が無理に映画を描くための演出の匂いがして、異様に嘘っぽかった。
そもそもドラッグ中毒でリーランドの彼女であり弟を殺されるとうマローンの立場も不自然だし、物語の後半に放置なのも話題重視だけの設定に感じてしまう。 リーランドとチードルの台詞のやりとりや、更生施設内のリーランドとジョナサンの友情などを観ていると監督の非凡な才能は感じるので、もう少し視点を変えていたら…と考えると惜しい。
で、もやもやしたままDVD併録の監督のインタビューを観ていて仰天!!。 監督曰く「殺人犯の全員がモンスターと限らないというのを描きたかった」って…。 。殺人事件における被害者の立場を考えられるのなら決してこんな発言や発想は出ないはず。想像力が無いというか、物事の考え方が浅いと言うか…。
ゆえに映像や演技を評価して★4つにしようと思ったけど一気に★3つ。 関係ないけど主演のゴスリングは、吉本の外国人芸人チャドにクリソツ!!
「太陽の光が、どんな感じか忘れたよ」byジョナサン
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