NHKの中国語会話でアンディ・ラウが「『HERO』を見て僕もこういう映画に出たいと思った、そして自分なりの鍛錬を重ねた」みたいなことを言っていたあたりで嫌な予感がしたのですが、残念なことにそれは的中していたように思いました。

美しい舞台、美しい衣装、美しい俳優たち、美しい殺陣、迫力のサらウンド、どれも期待を裏切らない出来栄え。でも何か伝わってこない。いい映画が沢山すぎて私の感性は麻痺してしまったのでしょうか？

この映画のテーマであるところの、肝心かなめの「愛」は見世物にすらなっていないのです。役者たちの演技やアクションは見ごたえがあるけど、この手の恋物語を歌舞伎や浄瑠璃でなく、映画でやることの面白さが見出せないというか。

敢えて比べるなら、この作品は『HERO』を超えていないし、かといって見劣りする話でもない。ただ少なくとも『HERO』には最後の最後で頬を張られたような感覚があったんだよね。『LOVERS』にはなかった。人が騙しあう過程を売り物にしておきながら、いつの間にか愛を貫くというのがテーマにすりかわってて、結局何を見たのかピンとこない。

それに、なんか一曲売れたからつーて次も似たような曲を出してくる歌手みたいな感じがどうしてもつきまとってしまう。確かにいろんな「萌え」要素が詰まってるし、萌え映画としては成功してると思うんだけれども。特にチャン・ツィイーは泥だらけの顔のほうが美しいと。さすが監督、よくわかっていらっしゃる。

あらさがしばかりしてしまいましたが、まばたきするのが勿体ないくらいの「美しい」映画ではありました。「びっくりした話」「泣ける話」と来て最後に「ありえない話」を持ってきてしまったのが全ての元凶ではないかと。。。

ところで劇中不自然にカットされた（つながれた）部分が２箇所くらいあったような。気のせいかな？

（18/08/2004　試写会＠有楽町よみうりホール）