[コメント] スウィングガールズ(2004/日)
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相変わらずへたっぴいな監督だ。でもその稚拙さが、高校生を主役にしたこうした内容にマッチしているのだろう。二匹目のドジョウと言わず、むしろ得手分野として今後も伸ばして欲しい。 しかしこの監督の笑いは相変わらず無茶系でヒキョウだなあ(笑)。大爆笑。
男子校の文化祭のノリに高校・大学と文化祭を仕切りたった3人から実行委員会をスタートさせた経験を持つ私が涙した前作『ウォーターボーイズ』に対し、今回は吹奏楽をサークルから部活に押し上げ初めてコンサートを開くに至るまで活動したというヨメが号泣。その時に「IN THE MOOD」を演奏したそうで、それもツボだった模様。
つまり我が夫婦の様な古い人間、特にほぼ“ゼロ”に等しい状況から一つの完成形を経験した人間の感覚から言えば、“成功”へ向けての“困難”は、電車が止まったり申し込みを忘れたりとかいう次元じゃない。というか、そんなもんは真剣味に欠けたボーンヘッドで、逆にその情熱を疑ってしまう。
前作はまだ「プールが使えない」という高校が舞台である必然性のある困難があったが、今回は“金がない”ってこと以外は高校生である意味はあんまりないのね。逆に高校生だから発表の場があるというメリットはあるけど。
つまり、動機付けへの流れは非常に上手だったものの、そこから先にある“困難”は全て紙(脚本)の上で考えた“事件”。中でも最大の困難は楽器の練習という“努力”だったはず。それが全く描かれていないとは言わないが、軽やかに描かれている。いや、それを否定はしないのだが、「ああ、今風なのだなあ」と思ってしまった。努力とかを前面に押し出すのは流行らないのね。
古い人間としてはね、やっぱり『ロッキー』が理想だったりするわけですよ。血の滲む努力の先の勝利に初めて達成感とか爽快感とか感じるというか。いや、私自身は努力するのは嫌いなんですが。ま、ただのオジサンのたわごとですから気にしないでください。
何?この映画でも爽快感や達成感がある?いや、まあ、最後に「SING SING SING (with A Swing)」かけたら、例えビットリオ・デ・シーカの『自転車泥棒』だって盛り上がるんだよ。あれはそういう曲なの。
しかし、実際に演奏した出演者達は相当“努力”したはず(実際演奏は上手だった)。 だから「急に上手になったように見える」のはもったいない気がするんだよなあ。本当に彼女達が上手くなっていく成長の過程を素直に観たかった、というのが本音。
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