当然の事ながら人形の動きだけでもめちゃくちゃ感情表現出来ているんですが、他にも面白い試みが沢山みられます。例えば効果的なライティングにより心情を表現したり、屋根を取っ払った屋敷の中を俯瞰ショットで撮ってみたり、水面を覗き込んだ女の水に映った顔が鬼になっていたり、血の涙が石畳の上にぼたりと落ち、筋を通って沁みていく様子など、見所が満載。

また風一つとってもなんというリアリズム！強風に煽られる着物の袂や、なびく髪の動きなんかは特筆ものです。

そしてなんと言っても清姫の描き方が良い。単に怨念渦巻く狂女として描かず、彼女の中の哀しみを表現する事で、私たちは素晴らしいラストへと導かれます。おどろおどろしくも美意識すら感じるラストの無常観はたとえようもなく美しい。どの感情がそうさせたのか分からないような涙が出てしまいました。いや、全く素晴らしい。全てが素晴らしい。

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09.02.05記（09.02.02DVD鑑賞）