[コメント] ターミナル(2004/米)
ほとんどのギャグが視覚的な笑いになっていて評価できる。ゼタ・ジョーンズとのディナーではそれぞれの芸を1ショットの長回しで見せる。また、本作はスピルバーグの中でもホークスからの影響が色濃く窺えて実に好ましい。チームワークで女を誘導し、ハンクスの膝へと着地させる。床からの反射光、飛行機のライト、噴水の煌き。カミンスキーとの充実した共闘作業も見ものである。
ディスコミュニケーションからやがて円滑なコミュニケーションへ、ひいては得体の知れぬ異邦人から仲間としての連帯へ。私は本作の主人公を「ターミナル」という場所ではなく、「ターミナル」の中の人間関係として捉えた。故にこの映画はキャサリン・ゼタ・ジョーンズとの粉雪舞う美しい内側からの切返しと、スタンリー・トゥッチが空港へ戻っていくシーンで終わらせるべきだったと考える。無論、その後の場面で家へ帰ること、待つ人であることが描かれるのだが、そんなぽっと出てきただけのジャズ音楽家でいきなり終わらされても「上映終了間際に現れたお前さんは一体誰なんだ?」という感じで全く泣けない。主題は解決してなくとも、トム・ハンクスが「ターミナル」を出た時点で映画自体はもう既に終了しており、ラストシーンはただの蛇足と成り果てている。
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