[コメント] アッシャー家の末裔(1928/仏)
この家の中は、オレンジ色だ。暖かいということだろう。飲み屋か。男が4人ぐらい、使用人の女が1人いる。初老の男は馬車を頼む。アッシャーの家へ行きたい。それを聞いた他の男達が、口々に、アッシャー?アッシャー?とイヤそうな顔をする。
続いて馬車。屋敷が近づくと、御者は、尻込みする。これ以上近づきたくない。アッシャーの屋敷は地元では呪われた屋敷とされ、誰も近づかないのだと分かる。屋敷の中。主人はロデリック。妻のマデリーン。あと医者と執事の4人が住んでいる。初老の男は主人の友人だったのだ。彼の持つルーペとラッパ型の補聴器が良い小道具になる。目も耳も衰えているということだ。
屋敷の中の場面は面白い画面造型が目白押しだが、蝋燭とカーテンを使った風のイメージが何度も反復される。書庫から落ちる本のスローなど高速度撮影も多い。また、妻の肖像画を描くのがアッシャー家の伝統、ということで、ロデリックは絵を描くのだが、肖像画の中のマデリーンが瞬きするショットには驚く。絵の中でも生きているのだ。あるいは、マデリーンが揺れるような二重露光の表現なんて、現在の映画でやっても面白そうなアイデアだと思う(ありそうだが)。ロデリックとカメラが一緒に移動する(多分一緒に台車に乗っているのだろう)めまいショットみたいな効果は、後の映画でずいぶん使われているものだ。
彼らが棺を持って道を行く場面で、細長い蝋燭が道の両脇にあるように二重露光で見せる画面についても、面白いけれど、ちょっとやり過ぎのように思う。幼いアイデアだと感じる。終盤の屋敷の崩壊シーンは、スモークや炎と人物が映っている画面はスペクタクル。この造型も大したものだ。ただし、ミニチュアによる特殊効果は今見るとかなりチープ。背景の銀河のよう沢山の星の表現が舞台装置みたい。
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