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[コメント] エクソシスト・ビギニング(2004/米)

希望としてはショックシーン控えめに物語を深めて欲しかった。見事に裏切られてしまいました。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 正直、「何故今頃?」というのが正直な感想ではあるが、丁度古いホラーのリメイクブームだから、それに乗ったのだろう。これまでにも『テキサス・チェーンソー』(2003)があったし、これ以降も『悪魔の棲む家』(2005)、『オーメン』(2006)と毎年のようにリメイクがなされている。ただ本作の場合は純粋なリメイクではなく、登場人物の一人であるメリン神父にスポットを当てて、彼がそれまでなしてきたことを暴く。という感じで仕上げられてる。  実際の物語そのものは実はそんなに悪い訳ではない。神への信仰を失った神父が、再び信仰を取り戻すまでの心の成長という観点から見る限りは割としっかりした作りだし、『エクソシスト』に続くため、あのメリン神父が何をしてきたのか?という疑問に答えが出ている。『エクソシスト』の冒頭でパズスの像を前に呆然としているメリンが何を意味しているのか。結局本作の存在意義はそれ以外にないのだから。

 ただ、どうしても受け入れられないのが、『エクソシスト』のパロディとしか見えない描写が連発し、しかもショックシーンだらけ。オリジナル版に表されていた心理的な恐怖や本能的な恐怖は全く顧みられることがなかった。より純粋なオカルティックな作品になる事を期待していたら、ビジュアルが良いことがホラーの怖さと勘違いしてる典型としか思えず。ストーリーは悪くないのに、長時間観ていたいと思わせない作りには問題があるぞ。更に後半になるとメリルがほとんどヒーロー並の力強さで悪魔と戦っていくことになるのも、なかなかに微妙な外し方を見せてくれる。

 もう一つ、本作の特徴は、超自然的な悪魔は確かに出てくるが、それ以上に人間の悪行(ローマ帝国およびナチスの描写)が多いのが特徴か。本来的だったら悪魔よりも人間の方が残酷だと言うことを言おうとしていたのかも知れない。ただ、それをやるんだったら、脅かしは無しにして直球で語って欲しかったと思う。ショックシーンがこんなになければ良い作品に仕上げることも出来たのに。勿体ない話だ。

(評価:★2)

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