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[コメント] エターナル・サンシャイン(2004/米)

初めて顔を覗かせた、チャーリー・カウフマン脚本における切実さ。(レビューはラストに言及)
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







描かれている主題は紛れもなく愛なのだが、中盤その切実さを感じさせる機会が存在しない。チャーリー・カウフマンの脚本は、あらゆる技巧を凝らすわりには、話の展開としてはA→Bというように(例えばAがCになったり、Dになったり、はたまたAとかA’に回帰するといった可能性が、最初から打ち消されている)、一つのエピソードが持つ可能性を一つの結論に機械的に収縮、収斂させてしまう。開かれたストーリー展開でないがゆえに、奇抜な設定に慣れてしまうと時として退屈をおぼえ、話への求心力も失われていく。

しかし、それでも二人が再び出会ってしまったこと。また、全てを悟った後で、同じことを繰り返してしまうかもしれないと恐れるケイト・ウィンスレットに向かって、ジム・キャリーが告げた言葉。そこには切実さが宿っていて、今までのカウフマン脚本にない開放性を感じた。論理的で理知的なカウフマンが理想主義に退行したのではなく、一定の成熟を得たものと評価したい。

(評価:★3)

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