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[コメント] エターナル・サンシャイン(2004/米)

ファンタジー色のある恋愛ものだが、そこに記憶のメカニズムを盛り込むチャーリー・カウフマンの独創性溢れる脚本は、逆手に取れば展開破綻の寸前。それをミシェル・ゴンドリーがこれもまた独創的な映像イメージにうまくまとめている。見事なコンビネーション!
Keita

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 とてもチャーリー・カウフマンらしい脚本。いつも思うことなのだが、ジョエルの脳内のようにカウフマンの脳内こそ覗いてみたい。今回も自己投影されたジョエルという主人公はやはり弱弱しさが漂う男で、『アダプテーション』も思い出すとチャーリー・カウフマン像が少し見えてくるのが面白い。また、物語のクライマックスもカウフマンらしいアンチ・ハリウッド精神が垣間見れて、その挑戦を買える。ジョエルとクレメンタインが記憶がなくなっても再びめぐり逢う運命、という結末で締められるところを、その先の先まで描いてから物語を締めくくっている。運命ではなく、お互いの嫌な部分までも受け入れてまで愛し続けようという、恋愛においてのリアリティを注入した良い結末だった。

 ミシェル・ゴンドリーもこんな恋愛ファンタジーという着地点以外は奇想天外なんてレベルを超えている映像化の難易度が高い脚本をしっかり映像化している。ダフト・パンクやビョークのミュージッククリップで、そのクリエイティビティはすでに証明されている映像作家だが、幼年の設定のジョエルが台所の机の下に隠れているなどという面白エピソードの数々をしっかりイメージ化しつつ、最終的には展開をまとめ上げているから偉い。映像センスだけでなく、ストーリーテリングもできる作家であるということを、この作品とデビュー作『ヒューマン・ネイチュア』でしっかり納得させている。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)おーい粗茶[*] ナム太郎[*] わっこ kazya-f[*] けにろん[*]

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