[コメント] ベルヴィル・ランデブー(2002/仏=ベルギー=カナダ=英)
ユーモア溢れる数々の奇抜な着想。きわめてユニックなキャラクタ・デザイン。緻密な作画。アニメーションにのみ可能な躍動と活劇の追求。文句なしの傑作だ。音楽もすばらしい。音の定位の適切さにも特筆すべきものがある。
とにかく絵のユニックさに目がいく作品ではあるが、ごく一般的な意味での「優れた」演出がなされていることも見逃してはならない。たとえば、両親が自転車に乗っている姿を写した古びた写真一枚を見せるだけで、シャンピオン少年が抱く両親への思慕と自転車への拘泥を見事に説明してしまっている。しごく経済的な説明ではあるが、この作品世界においては必要十分な説明であろう。
また、自転車を扱った映画には名作が多い(気がする)けれども、この『ベルヴィル・ランデブー』も「自転車の映画史」にその名を刻んでしかるべきだ。本作のような自転車の使い方をした映画を私は他に知らない。
しかし、「孫を想うおばあちゃんの愛」や「おばあちゃんとトリプレットの友情」といった「いい話」にとって必要なツボを押さえていることがこの作品のポピュラリティの獲得に貢献していることも間違いないだろう。だって私、冗談抜きで泣いちゃいましたもん。
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