[コメント] 風櫃〈フンクイ〉の少年(1983/台湾)
甘ったるさのない良質の青春映画
主人公は、「少年」というタイトルから受けるイメージよりも、むしろ「若者」というべき年齢で、高校も中退し、悪戯やケンカで無為に日々を過ごす一方、大都会の暮らしに夢を抱く男の子たちだ。アーチンの父親はかつて草野球の死球を受けて廃人になっているが、それがアーチンに暗い影を落としているらしい。
台湾の男は、特別な理由が無い限り、若い内に必ず軍隊に入隊させられる定めなのだが、それがどう彼らの心理に影響しているのか、何を思って高雄に行ったのか、親に反抗する理由は何なのか、映画からはハッキリと伝わってはこない。でも、明確な目標や夢を持てずにいる思春期独特の苛立ち、漠然とした閉塞感の中でもがく痛みのようなものを、感じ取ることができると思う。どこにでもいそうな若者達の、どこにでもありそうな普通の暮らしを、ドキュメンタリーのような醒めた視点で淡々と描いているのに、見終わったときに、何故か胸をきゅっと締め付けられるような想いがした。 ついでに、服装とか風景がノスタルジックで面白かった。
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