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[コメント] 燃えつきるまで(1984/米)

80年代に作られた映画というのは何故、ジャンルを問わずに、すーっと世界に入って行けるのか?。フィルムに現れる適度な制作時の古さが心地良いせいか?。物語はヒロインがダイアン・キートンという時点でドラマティックさが半減するものの、実話だと言う事を知ると興味深く見守れる。マッチョなイメージに捕われる前のギブソンの素直な演技は新鮮。
TOBBY

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







刑務所長の妻のソフェル夫人が,夫と倦怠期を迎えており、そこへ無実の若い美形の死刑囚兄弟が現れ、4人の子供を捨て、彼らを脱獄させ一緒に逃避行に走るというのは、百年前の出来事とは思えない大胆さ。 スタイリッシュなサスペンス作品とは異なるリアルな緊張感が見ていて楽しめる。

しかし惜しむらくは描く事が多い為に個々に描写不足が目立ち、ギブソンキートンが恋に落ちるのも早急過ぎるし、トリニ・アルバラード筆頭に印象的な子供達や夫ら家族とキートンとの関係の描写が浅いのが残念。

また無実の罪であるのに,死刑を受け入れてしまっているビドル兄弟(ギブソンモディン)にも疑問が。もっと理不尽な、この状況に対して悪態をつくなり態度に表しても良かったと思う。この映画の二人はあまりにも行儀が良過ぎる。

面白さが増すのは中盤以降で,嫌でも脱獄のシーンではハラハラするし、カナダでの老夫婦の家での穏やかなシーンはユーモラスさを称え印象深い。(ラストに振り返ると彼らにとって最後の安息だったと思うと切ない)。

終盤の真っ白な雪原の美しさと、相反する警官達との緊張感溢れる撃ち合いのシーンはあまりにも残酷で、雪の中を血を流しながら這いつくばる兄弟の姿には哀しみが深く漂う。 ヒロインのラストが想像と違っていたが、これもまた事実は小説より奇なり。

演技に関してはキートンはあまりに華やかさに欠け,ヒロインたる説得力に欠くのでジャクリン・ビセットとかメリル・ストリープで観たかった。 ギブソンは当たり障り無い演技をしているがスターの存在感は流石。モディンはサポートで、終始目立たない印象を受けるものの、ラストの馬車での叫びのシーンで演技力を披露。 逃亡中の彼らに宿を提供する老夫婦の演技が非常にリアル。また初々しいアルバラードが絵画のモデルの様で美しい。

現実のビドル兄弟とソフェル夫人に興味を持ったら以下のサイトを見てみると興味深いかも。 実際のソフェル夫人はもっとハッキリした顔立ちで、兄のエドの方がモディンに似ている。

http://users.visi.net/~jwhardin/

(評価:★3)

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