[コメント] ふたりにクギづけ(2003/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ファレリー兄弟が長年温めてきたアイデアをついに映画化。結合双生児を独特の笑いで描いてしまうという一見「?」な設定も、彼らの手にかかれば絶対性のあるメッセージを必ず感じ取ることができる。私は、彼らが自分達の作品において頻繁に障害者を起用し続けることに素晴らしいとも思わないしおかしいとも思わない。これは最早彼らにとっては「当たり前」なことだろうし、障害を持つ人達には秘めた才能を開花していない人間が沢山いるので(これは健常者でも同じだ)、その舞台を率先して提供しているのだ。彼らが面白ければ笑えばいいし、詰まらなければ、そう思えばいい(下品なギャグとはまた別問題)。ファレリー兄弟は温かい眼差しでそれを望んでいる。
映画は、ファレリー兄弟らしさが戻ってきたという印象。『愛しのローズマリー』よりもブラックユーモアが溢れ、単刀直入に言えばキワどく下品(苦笑)。好みが二分しそうだが、しかしながら温かくもホロッと感動できてしまうのは彼らの手腕そのもの。
ハリウッドが彼らを後押ししたのだろうか。「手術への決意」に関するプロットが弱いような気もしたのだが、ウォルトの俳優活動によって二人が結合双生児ということが世間に知れてしまうと、彼らは何かと衝突を繰り返すようになる。将来このままでいいのだろうか、リスクを犯してまで手術に踏み込む必要があるのか……。俳優業やメイ、エイプリルの存在が彼らに決意をさせたわけだが、最終的には「一人だけの問題ではない」というメッセージを放ってくれたのには嬉しくなってしまった。トントン拍子で手術がうまくいっていたけれど(笑)、その辺で故郷や両親(全く描かれず)の心境なんかが織り込まれていたら手術へ対する問題がもっと生まれてきたのかもしれない。
手術の成功後、二人は別々の道を歩み始めるのだが…。ここからは爆笑と感動の連続でファレリー兄弟の真骨頂。泣きじゃくるウォルトに全く仕事がうまくいかないボブ。「大切な存在」に改めて気づかされる訳だ。
そして、もしかすると、エンドロールのロケットの熱いコメントが全ての答えなのかもしれない。
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