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[コメント] カンフーハッスル(2004/中国=香港)

俺はCGをメインにしたカンフー映画をカンフー映画として認めるつもりは断固として無いが、チャウ・シンチーがやりたい気持ちは、ジャッキー映画を見て育った俺にはたまらなく良く分かる 2005年2月1日劇場鑑賞(吹き替え)
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







俺が映画に片足突っ込みキッカケなったのがスライの『ランボー 怒りの脱出』で、その後、もう片方の足を突っ込むキッカケになったのがシュワの『コマンドー』で、頭のてっぺんまでダイブするキッカケになったのが『プロジェクトA』な訳で、カンフー映画、と言うとハリウッド筋肉映画と同じぐらい思い入れがある訳ですよ。それをアナタ、本作の劇場予告は「この国はまだ本物のカンフーを知らない」とか謳ってる訳でしょ。見ないわけにいかないじゃないか。

で、見たよ見た見た。そして落胆した。興奮もした。非常に微妙な気分で劇場を後にした。

俺はジャッキーの生身のアクションこそ本物のアクションだと信じて育ってきた。『レッドブロンクス』のキャッチコピーなんて「恐竜さえ蘇らせたハリウッドでも不可能だった事―」だぜ(多分)。それが香港映画のパワーだと、俺は必死に信じてた。

ブルース・リーの本物の強さ、ジャッキー・チェンの本物のスタント、ジェット・リーの本物の華麗さを見たんだ、俺は。この目で!ふ、ふざけんな!CGバリバリに使って何がカンフーだ!

俺の感覚が古いだろうか。確かに、今の時代CG合成なんて当然で、下手に何かするよりも合成した方がコストが安くなる場合もあるだろう。でも、俺は、そんな時代だから、そんな時代だからこそ、本物のカンフー映画を見たかった。

シンチー、お前がやってるのは『7人のおたく』の内村光良なんだよ!ふざけんな!俺は認めんぞ、断固として認めん。このカンフー映画を。

生身のカンフーにCGを添付するなんて持っての他だ。それは無農薬野菜を調理する時に化学調味料ぶち込むのと一緒じゃねーか!カンフー映画でしていいのは早送りと安っぽいCGだけなんだよ!あくまでメインはか・ら・だ!体なんだよ!

――と、文句は盛り沢山なんだけど、実を言うと久しぶりにカンフーを劇場で見て楽しめた、と心から思えた(爆)

近年、『マトリックス』辺りから大々的にハリウッドが東洋武術を取り入れ始め、「マーシャルアーツ」が非常にポピュラーになってしまった。でも、「マーシャルアーツ」じゃないだろ。なんで「アート」なんだ?『マトリックス』公開当時、俺はそのショボいアクションに落胆した。あんな表面なぞっただけのままごとカンフー見せられても全く興奮しないんだよ。そして、その格好つける為だけのアクションが主流になってしまった。

本作には『マトリックス』をパロっている。恐らくシンチーの挑戦状だろう。そうだよ、そうだよシンチー!もっとやれ!この作品は、ハリウッドに正面からケンカを売っている。シンチーは本作を以って高らかに宣言している、「カンフー映画とはこうあるべきだ!」と。その情熱に、思わず俺は惚れてしまった。

カンフー映画の魅力は、やっぱカッコ良さだろう。俺は、シュワやスライを見て西欧的なマッチョに憧れたが、自分の痩せた体に無理を感じていた。そして、ジャッキーを真似しまくった。『酔拳』も形だけ真似した。そうだ!そうなんだよ!皆やりたかったんだ。少なくとも、それらの映画で育ったボンクラ達は、当然やりたくなる事なんだよ。

とりあえず型真似すりゃ強くなれた気になれる。そんな風に思った奴は居るはずだ!だって天下ハリウッドですら真似したんだから。

それをシンチーが楽しそうにやっている。そんな映画貶せる訳ねぇじゃん。

マッチョな兄貴よりも、婆さんやオッサンが強い。そうだよ。そうなんだよ。だって『酔拳』でもなんでもないおばちゃんや、呑んだくれのオッサン(師匠)が強いじゃないか!サモ・ハン・キン・ポーなんだよ!当にそれなんだよ!

うーん、自分でも何言ってるかわかんねーけど、要するに「弱そうで強い」から、「俺も強くなれる」気がして、思わず真似しちゃうんだよね。うん。泣けるぜ、懐かしい。

どうでもいいけど、ラブロマンスのパートは絶対的に不必要かと・・・いや、でも、俺、思わず泣いちゃったんだけどね(爆

(評価:★4)

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