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[コメント] ビフォア・サンセット(2004/米)

この感覚はあれです。いちご大福でキャッチボールするみたいな感じです。
きわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







9年前、自分が若くてきれいで、自覚しているうえで人生で一番の頃に、たった一度だけ出逢った素敵な人。 そんな人に再会して、またあの頃みたいにとめどもなく話す。一分一秒の間が、華奢で壊れそうでハラハラしながら味わった甘酸っぱい感覚。

でもあの頃みたいにもう自分たちがうぶじゃないことも隠しようがなくって、言わなくてもいいのに「男も女もやらかしちゃうときってあるよねアハハハハ」みたいな大人の下ネタとか言っちゃって「私の馬鹿」とか激しく思ったり。 そういう酸いも甘いも通り抜けてきたお互いが、また9年前のように、あの時と同じ情熱で話がはずむこと自体、夢みたいだと思う。

そして車中。女は切れる。それまで保ってきた糸が。9年前、たしかに逢いに行かなかったのは自分だけど、でもまさか相手が結婚するなんて。いや違う。私と結婚するだろう、するべきだとかそういうことじゃない。彼の幸せを願ってないわけでもない。それでもまさか自分より先に行っちゃうなんて。自分より先に人生を完成させてるなんて。ひどい!あんまりよ!男なんてみんな口ばっかりよ!

と、軌道をはずれまくった怒りをぶちまける。 それでも男は喜んでいる。それでも君と逢えて良かったという。

家について、猫を紹介して、部屋が散らかっていることを恥じて、お茶を入れて、もう男が帰る気がないことを確信する。 もう二人は「運命の恋人」ではなくなった。ついに「男と女」が始まった。(09/05/17 記)

(評価:★5)

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