[コメント] マシニスト(2004/スペイン)
映画を見終った人むけのレビューです。
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巨漢の男に翻弄される不眠症の男のサスペンス映画。
不眠症の主人公トレバーを演じるクリスチャン・ベールの痩せこけた体つきがリアリティを通り越して痛々しく、後半になると疲れ果てて衰弱した姿も本当に病気なんじゃないのかというぐらい弱々しくなり、正直演技力を通り越して圧巻させられた。自分の演じる役のリアリティを追求するために自ら30キロも体重を落として役作りに挑んでしまうのは、もはやすごいとしか言いようがない。演技もよかったがそちらの方に感心してしまった。
ストーリーは突如現れた謎の男に翻弄される主人公を描いた話で、主人公が彼の存在を誰にも信じてもらえずに孤立し、単身自分を嵌めようとする男を捜査するところなど精神錯乱サスペンス映画にありがちな内容だが、要所要所で伏線が張られ推理要素のある展開となりラストは意外性のあるオチでそこそこ盛り上がる作品となった。
特に前半や中盤のさりげない小さな伏線(中盤の遊園地のお化け屋敷の交通事故のセットや主人公が随所で分岐点に遭遇するところなど)が後々でラストのどんでん返しのための大きな伏線となるところは見てても予想がつかない展開で、見終わった後で色々と考えさせられる点が多い。
ラストの展開を見るともっと評価を上げてもよさそうな感じもするが、よくよく考えると辻褄合わせのようなシーンもあり少々消化不良な点も目立つ。例えばトレバーの前に現れる巨漢の男だが現れるのがなぜトレバーが不眠症になってから1年後なのかという点。ラストのオチを考えると別段1年後でなくともトレバーが不眠症に悩まされ始めた最初の段階でもいいわけだし。それとトレバーが病気ではないのかというぐらい痩せ細っているのに会社の仲間が病院を進めるようなシーンがないのも不自然。下手したら過労死しかねないかも知れないし会社側ももし仕事中に倒れたら問題にもなりかねないわけで、強制的にでもトレバーを病院の検査にかけないのもリアリティに欠ける。
また、ラストのオチを考えるとトレバーがマリアとその息子と遊園地で遊ぶシーンも実は○○オチというわけだが、それならトレバーの前で息子が倒れた時に周りの人々が彼を変に思うわけだし、彼はその後マリアの家に上がりこんでいるのでその時点で不法侵入者として警察に捕まりかねないのではと思ってしまう。
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