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[コメント] 少女ヘジャル(2001/トルコ)

受け入れなければよかったのだ。彼にはひとりで充分暮してゆける財産も、孤独を癒してくれる隣人もある。憎たらしい口をきき、こちらの存在などどう思っているか判らない少数民族の子になど情をかけなければ。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







随分気の滅入る映画である。

トルコにおいての危険分子とされるクルド人を、皆がするように蔑み、家政婦(彼女もまたクルド人の血を隠している)にすら母語を口にさせない頑固な老判事が、少女と短い時を過ごし、そのあいだ、どんなに自分の心を殺して愛してやろうと努力したか知れないのに、彼女は叔父に付き添われて故郷へ帰ってしまう。知らないでおればよかった、という悔恨は、この後幾たびも主人公を苛み、責めつづけるだろう。

口の上で綺麗事を語るのは誰にもできる。だが、口でクルド人を救ってやろうと言葉を弄んでも、たった一人のその子供を救うのは至難の業なのだ。この冷厳な事実を前にしては、口を噤み、頭を垂れること以上のことをできる人間は少ないだろう。

哀しいが、少数民族問題の現実とは、多かれ少なかれそうなのだ。

(評価:★4)

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