[コメント] 何もかも百回も言われたこと(1993/日)
失われた10年。
思い出しました。
「失われた10年」とは経済用語で、バブル崩壊後の90年代を指す言葉ですが、
それは軒並み日本の映画や音楽、文学にも深く根ざしており、
文化の本流というものが悉く影を潜め、
僕たちは空虚なサブカルチャーに身も心も奪われた時代だったのでした。
そうでした。そうでした。
それをくっきりと思い出させてくれたこの映画。
主人公の女の子のように、周りから大切にされていることを知りながらも、
ただ、何となく生きていく。
大事件も何も起こらない。
意味のない、ありふれた言葉と日常にまみれながら、それでもとりあえず、
もがくふりをしてかっこつけてみる。
決して侵されることの無い、自分のテリトリーの中で、
まるで観賞魚のように空しさと戯れてみる。
今、それを思い出すとき、激しい羞恥心だけでなく、あろうことか、
誇らしげな気分というのも沸いてくるので自分で面食らいます。
とにかく主演の西岡由美子さんが素晴らしかったです。
中性的で、ナチュラルで、風景によく溶け込んで、芯があって。
目の大きい田中麗奈といったところか。
開発途上の幕張ってのもいい絵でしたね。
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