シネスケコメンテーターの方々の評を、劇場鑑賞しようかするまいかの決断にかなり重きを置く私は、この心待ちにしていた『ブリジット・ジョーンズの日記』の続編の劇場鑑賞を断念した。これは自分の意志の薄さによるもの。その後近所のシネコンでの上映期間も短く、「やっぱおもんないねんなあ。。」と内心さびしく思っていた。が。

おもしろいじゃあないかあ・・　ていうか爆笑しましたですよ。。 スパイダーマン２ばりの主人公のすっとこどっこいぶりに終始笑い通し。だって「やだ・・まさか妊娠？？って死ぬ〜〜〜！」ってスキーウェア版バニーガールが猛スピードでトラックレースへ突っ込むんですよ？そのまま国境超えて薬局に入っていくんですよ。足に板付けたまんま妊娠検査機購入するんですよ。何語だかわかんない言葉を駆使して、異国のおっちゃんおばちゃんらに一喜一憂されながら。もうこっちが笑い死にする。

前作の物語のテーマは『ダメ子が幸せをつかむまで』。今作は『ダメ子はなぜいい男にモテるのか？』。正確に言うと『ブリジット・ジョーンズはなぜみんなにモテるのか？』（ホントの意味で男からも女からも。そして外人からも。）

それは彼女がつねに一生懸命だから。文にするととてつもなく陳腐だけれど、つまりはそうなのだと思った。一生懸命というより、いっぱいいっぱいというべきか。 シーツをかぶってでも彼の前で着替えたくないこととか、浮気を疑って友達にそそのかされて結果赤っ恥かいたりとか、ハイソな彼氏に合わせようと必死にドレスアップしたりとか（勝負の日にそなえ、美容院に駆け込んでとんでもないことになる経験は痛いほどわかる）、彼の周りの足が長くて可愛い子がどーしても気になったりとか（自分より彼女の方がすべてに置いて勝っているということは地球が青いことよりよくわかっている）その他もろもろ彼女の行動はすんごーーくよくわかるしそんな姿が愛おしい。そんないちいちのブリジットの必死さは前作より変わらないしより一層ハチャメチャだ。 そんな彼女がどうしていい男から愛されて、しかもイケメンプレイボーイにまでモテるのかというと、彼女が一生懸命な上に一番肝心な時に素直になれる勇気があるからだと思う。

その中の一つのシーン。弁護士パーティーの帰り、彼（マーク（コリン・ファレル））と喧嘩して、家に帰ったブリジットは彼からの電話を念じて待つ。ここでの「恋愛のルール」っていうと、「喧嘩した後は女から電話はかけない」ってもんなんだろうけど、彼女はかける。「ルール」を守る女は『やり手な女』なのかもしれないけど、最終的にハッピーをつかむのは、「ルール」を乗っ取っていきたいけどできないブリジットだと思う。電話をかけ、開口一番必死に謝る。そこへその彼が尋ねてくる。「ちょっと待ってて、今電話中なの。」「もしもし？あなたなのね。えーと私を捨てに来たの？捨てないで捨てないでお願い。・・もしそうじゃなかったらあなたなんか知らないんだからこのタカビー男。」そして電話を切った彼女はすまして彼に「愛してるんだ！」と玄関口で叫ばせて、家の合い鍵を持って下りていく。帰って留守電を聞いたマークはさらにブリジットが愛おしくなるだろう。彼女は『ノープランなやり手女』だ。

脚本が特に優れていた訳ではないと思う。でもこのブリジットと、ブリジットの運命の二人の男、そしてそれを演じているレニー・ゼルウィガー、コリン・ファレル、ヒュー・グラントという優秀でチャーミングな俳優達の珠玉の演技によるものが、このぎりぎりなキャラクター達にリアリティとどうしても憎めない愛嬌を与えているのだと思う。たぶん違う俳優がやっていたら、「勝手にやってろよバカップル映画」か「ビッチがなぜかモテる映画」になっていたと思う。この三人なくして「ブリジット・ジョーンズの日記」シリーズはあり得ない。（レニーの表情はほんと可愛らしい。誉められて思わずシーツ脱いじゃうところとか。女にマジモテするのもびっくりだけど。ていうかあの娘、まじで可愛いし。レズじゃなくて惜しかったよね、ブリジット・・）

とにかく今作は笑えた。「愛してるわ！」って告白したら知らんおじいちゃんだったとか、シリーズの名物シーンになろうとしている、コリンとヒューのチキンファイトシーンとか、とにかくベタにベタを重ねてくれて、ほんと満足。あ、そうだ。私ベタなの大好きだった。『TAXI3』もしかり、告白シーンでもギャグシーンでもベタなの大好きなんだ。３、４、と出ても見続けます！