あまりにも気の毒なこの状況にコメディーとして決着を付けるなら、カビの生えた古臭い手であってもやっぱり「障害の奇跡的回復」が欲しいと思った。そうやって偶然の二度目の不慮の事故に頼ったりしないところが、映画としての誠実さなのはよく分かるけど、それより私は夢が欲しい。こんなエンディングでは、この家族が今後も凄絶な毎日をこのまま繰り返し、思い出を共有し関係を築いていくことのできないまま、確かに気持ちが通じているという心の平安を得ることのできないままに、神経をすり減らし続けていく様が想像できてしまって、夢見る余地が全くない。彼女がとても素直で本当に性格の良い、のびのびと育てられたに違いない、素敵な女性であるだけに、かわいそうでかわいそうでやりきれない。ハワイの明るい青空からラストでアラスカへ一転とは、景色まで悲壮。