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[コメント] モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル(1975/英)

これ観て以来、アーサー王というと、手榴弾がセットになって考えてしまうのが困りもので(笑)
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 モンティ・パイソンというのは、日本でも一定以上の年齢の人間には忘れられない響きを持つ。テレビシリーズの『空飛ぶモンティ・パイソン』でイギリス流ギャグの洗礼を受けてしまうと、日本のバラエティ番組がいかにも稚拙に見えてしまい、未だに私はまともにバラエティ番組を観る気になれない。

 これはイギリス流の自虐を含んだギャグそのものが面白いと言うよりは吹き替えの見事さも大きいんだろう。子供にはなかなか理解できないギャグを理解できないまま笑わせてくれたのだから(後年ビデオで観てようやく分かったギャグがなんと多いことか…それと、原語で聞いてみると妙に味気ないことも分かったし)。不思議なノリのある作品だって事は確か。

 ネタの多くはほとんど大学の映研レベルのものなのだが、何でかこいつらが演ると、こんな面白くなるんだろう?と思えるほど。実はなんでこんなに笑えるのか未だによく分からないでいて、だからなかなかレビュー書けないままなんだけど。

 本作はDVDを購入して拝見。勿論最初は日本語で。

 やっぱり山田康雄と納屋悟郎の掛け合いは最高だ。ああ、ギリアムって古川登志夫が声当ててたんだ。とか、思い出や新しい発見などもあって、凄く楽しい。声で誰がどんな役演ってるのか分かるのもありがたい所。

 …と言う思い出だけじゃなく、舞台とか、演出とかに凄いこだわりも感じられる。その上で徹底的にアーサー王伝説のエピソードを笑いに仕上げている。

 オープニング、霧の中から現れる円卓の騎士の面々や、とんでもないオチも含め、無茶苦茶な笑いのネタつるべうちに酔いしれた。いやあ、面白い!こんなくだらないネタで何でこんな笑えるんだ?と我に返ると思ってしまうくらいに面白い。殺人ウサギとか、いきなりアーサー王が「これぞ〜聖なる〜」とか言って手榴弾出すとか、そんなネタだけで無茶苦茶笑えてしまう。

 本作の面白さは、時代考証の正確さと言うのも要素の一つだと思うのだが、これはメンバーの一人テリー=ジョーンズ(声は飯塚昭三があててる)はイギリス史に堪能で、何冊もの研究書まで書いてるくらいの才人だからと言うこともあり、この人が物語に深みを与えているらしい。それが共同監督のギリアムの妥協ない描写能力とあいまった結果であろう。

 尚、本作の制作日数は5週間、製作費46万ドルで、脚本はモンティ・パイソン全員で担当と言う、手作り感溢れる作品なのに、これだけしっかりしたものが作れるという良い見本になっただろう。

(評価:★5)

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