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[コメント] 夢の女(1993/日)

良い素材を揃えておきながら、一本の映画にすると変に仕上げてしまいました。なんでなんだろう?
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 吉永小百合が波乱に富む女性の生涯を演じた作品だが、1980年代の悪い意味での邦画の特性を見事に引き継いだ作品だ。この当時の文芸ものを観てると、金と有名どころの役者をふんだんに使って、「はい。どうぞ」という具合に出される。豪華な素材を使っておきながら、適当に味付けをして出された料理のようなもので、はっきり言って魅力を感じさせることはない。大体こういう作品にはなんでだか必ず吉永小百合なんだよな。似たような作品ばかりやらされて、彼女はとまどいがなかったのだろうか?

 特に1950年代にはこの手の作品は多かったけど、この当時の作品にはかなり魅力的なものが多い。これは監督の真摯な態度とか巨匠とかは抜きにしても、これは一つに作品が時代性に見事にリンクしていたため、自分自身の身を振り返ってみることが出来たという点が大きい。しかるに1990年代はバブルの余波があり、物語として自分自身を振り返るどころの騒ぎではない。結果、どれだけ描写しても全く心に響かない。

 結局キャラクタだけで観るしか無い訳だ。確かにキャラに関しては悪くはない。吉永小百合は言うに及ばないが、彼女の周囲を取り巻く面々が個性揃いで面白い。特に静かに吉永小百合を見守り続ける樹木希林の役どころはなかなか良い。

 …それ以外は全然駄目なんだけど。

(評価:★2)

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