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[コメント] 機動戦士Ζガンダム 星を継ぐ者(2005/日)

富野由悠季大先生がこういう作品をつくっちゃイカンだろ。下の者達に示しがつきません。
すやすや

各方面のインタビューで監督は、「今回はエンターティーメントを目指しました。ジブリアニメだけがアニメではないということを示したい」みたいなことをおっしゃっていました。

……どこが?

エンターティーメントって、老若男女問わず、誰が見ても楽しめる作品をいうと思うのですが、これはどこをどう見たってガンオタ”専用”の映画。 普通の人が見て、「おもしろい」と思える部分は大幅に加筆されたモビルスーツアクションだと思うけれども、宮崎アニメや『エヴァンゲリオン』にあるようなタメと解放の絶妙な演出がないので、いまTVで放映しているSEEDシリーズと大して変わらないし…。

そもそも、同じ映画の中で作画が違うって許されるんですか? 「これは20年前のTVシリーズで、映画化のために新作カットを追加しました」って断りを入れていること自体がマニア向け。 『』を映画化するのは一向にかまわないけれども、お客さんに楽しんでもらう作品として、全部新作カットで臨むのが礼儀なんじゃないですか?

内容はTV版で説明不足だった、エウーゴとティターンズの立場や、アムロ、シャア、カイ、ハヤトなどのそれぞれの立ち位置を明確にしたことでずいぶんとわかりやすくなっており、思っていたほどには酷くはなかった。

とはいえ、やはり新作と旧作のカットの違いに違和感ありまくり。 旧作の画像はとても大画面に耐えうるような画質ではなく、TVモニターならいざしらず、映画のスクリーンに映る映像としては噴飯ものだと思う。

製作陣(主にバンダイ)は今、Zガンダムの映画をつくったとしてもマニアしか映画館に足を運ばないことを十分承知してたのだろう。製作の意図は映画で儲けるのではなく、メディアミックスで盛り上げて、ゲーム、ガンプラ、おもちゃなどを売ることにある。だから、ちょうどペイするくらいの製作費しかかけてないのだ。

噂では、オリジナルをつくらせてもらえるならばという交換条件で監督はこの仕事を受けたとも聞いた。 その噂を聞いて少し安心した。少なくとも富野由悠季が本当にやりたいのがこの作品じゃないことを知って少し安心した。 富野由悠季はこんな作品で満足するような人じゃないはずだ。

ザンボット3』、『ガンダム』、『イデオン』など初期のサンライズ作品には、既存のアニメの枠組みをブチ壊そうというトチ狂った革命家の気概と本気によって、鬼気迫る緊張感がみなぎっていた。 そういう作品をつくってきた人が、20年も前の自作品のダイジェスト版なんかで満足されちゃ困るんですよ。下の者に示しがつかないのですよ。ウソでもいいから、「やっぱこれはクソだね」って言って欲しいんですよ。

富野由悠季のオリジナル作品に期待しています。

#ボロクソにけなしましたが私はガンオタです。MGアッガイ欲しい。

(評価:★2)

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