[コメント] 機動戦士Ζガンダム 星を継ぐ者(2005/日)
『Ζガンダム』は正直、TVシリーズの時代から惰性で観ていた番組だった。
副読本なしには理解できない説明不足。今穏やかに話していた者の頬をいきなり殴りとばす情動失禁ぶり。ファーストのベテラン脚本家たちが去り、新人シナリオライターを富野監督が統括していた状況ではあんなものしか創れないか、と諦めていたものだ。自分もヨソでメカデザインの仕事をチョコチョコやっていたから、新型MSの戦闘シーンだけを楽しみにしていたとさえ言える。だから、この映画には単にノスタルジーと腐れ縁気分だけで見に行ったのが実情だったのだ。
現在の目で見た限り、それは嬉しい誤算だった。富野がはっきりと「愚作だ」と斬り捨て、忘れたがっていた『Ζ』を、エンターテイメントとして見直せる時期を迎えられたことが判る。カミーユは新しい事実を知ることに感動し、シャアやアムロとの出逢いに打ち震える。フラウも、カイも、ハヤトも単なるカメオ出演ではなく、その時代を生きている人物として時代の空気を呼吸し、行動する。そして、作品は事実の積み重ねによってピラミッド的にカタルシスに到達する。…俺は全く見くびっていた。これは単なる新型モビルスーツのカタログ・フィルムではない。人間同士の交流と葛藤のダイナミズムが織り成すドラマだ。完全な新作フィルムでないことになんの不満があろうものか。次回のサブタイトルが「恋人たち:LOVERS」だなんて聞いた日には、もう、すぐにでも映画館に駆けつけたくなる。アニオタと笑いたい奴は笑っていろ。やはりこれは俺の青春とともにあった『ガンダム』の正統な後継者たる作品だった。カミーユの最後に行き着く先はTV版と違うという。俺は映画館でそれを確かめたい。アメ公に『スターウォーズ』があるなら、俺たちには『ガンダム』がある!!
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