[コメント] ロミオとジュリエット(1968/英=伊)
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映画はその発生からそもそも記録のために作られた側面を持っていたが、やがてそこには物語が作られるようになった。それで最初に注目されたのが舞台劇の記録だった。それで舞台劇で最も有名な作品が当初から映画化されるようになる。特に好まれたのが本作だろう。映画化されただけでもおそらく10を超える数が映画化されただろうし、『ウエスト・サイド物語』(1961)のような、この物語を下敷きにして制作された作品も合わせると、おそらく本作ほど映画化された作品は無かろう。
それだけ映画化されている作品の中で、一番の成功作とされるのが本作だという。舞台の台詞にとらわれることなく、ドラマ部分を重要にしたことと、演出の巧さがその原因だろう。
舞台にこだわらないというのはキャスティングでよく分かる。舞台劇ではロミオもジュリエットもヴェテランの役者に演じさせるのが普通だが、ここではシェイクスピアの原作に最も忠実に、年端もいかないホワイティング(17歳)とハッセー(15歳)の二人を主役に配し、いかにも若気の至りと思いこみで突っ走ってしまった結果としての物語が展開していく。一瞬のみを大切にするのが若さだとしたら、やはりこういう若い人物をキャラクタに配したのは正解なんだろう。
実際オリジナルの本質をきちんと理解しているという一点だけでも本作は傑作と言うことが出来る。
演出も良し。ニーノ=ロータによるスコアの良さは最高といえるし、あくまで中世を舞台とした時代考証の良さも語っておくべき事だろう。物語として新しい発見は無いものの、ここまで隙のない作品を作られると、やはり悪くは言えない作品だ。
尚、ホワイティングもハッセーも本作で絶妙の演技を見せるが、このイメージが強すぎて、後に俳優として伸び悩むことになる。
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