[コメント] ランド・オブ・ザ・デッド(2005/米=カナダ=仏)
ゾンビの中に本当の意味で「生」らしきものが芽生える。その咆哮(産声)の何とも哀しげなことよ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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おそらく意思を持ち始めた彼らに初めて訪れた感情は、「郷愁」ではないだろうか。あの姿は「どこへ行けばいいのか」というよりは、還る場所を探している姿にしか見えなかった。
ゾンビの脅威をなめてかかって人間同士のいがみ合いにうつつを抜かしてたら、忘れた頃に逆襲に遭う、という大筋の骨格は『ゾンビ』と大差はないのだけど、何しろロメロのゾンビ映画は詰め込みが半端ではない。意味(意図)や哲学の詰め込みも勿論のこと、むしろ目を瞠るのは演出の細かさと多彩さ。60過ぎた監督への言葉としては語弊があるかもしれないけど、凡百の亜流と比べても、そういった映画を作る上での基礎体力が明らかに違う。いや、冗談抜きに信じてついていくに足りる監督だと思いましたよ。
しかしそれにしても、話がゾンビの自我とアイデンティティにまで及ぶとは・・・つーかそこまで突き進んじゃって大丈夫なのだろうか、という心配も。人間の醜さを散々目の当たりにして憎悪しながらも、あまりにその人間たちに似ている己自身に、自我崩壊必至な気がするんですけど・・・。
(2006/8/26)
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