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[コメント] 五毒拳(1978/香港)

途中までは、結構意外性のある物語に引き込まれましたが、残酷性以外にもう一つ売りが欲しかったところ。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 本作の特徴はなんと言っても、実際の流派には全く存在しない害虫をモティーフとした拳法を作り上げたことで、しかも演出によって実際にあり得ないような動きも作り上げてくれる。ここではムカデ拳は高速で手数を出し、ヘビ拳は地を這いつつ、下からの攻撃。サソリ拳は蹴りをサソリの尾に見立てた攻撃、ヤモリ拳は壁を自在に歩く、そしてガマ拳は気功によってあらゆる攻撃を跳ね返す。と技も多岐にわたる。

 その辺の描写も面白いのだが、でも本作の面白さは設定部分よりも、むしろ物語の方。主人公は決まっているものの、他の兄弟子の顔も知らず、しかも一体誰が敵で誰が味方なのか全く分からない状態から物語が始まるため、誰が一体仲間になるのか、誰が敵になるのか、その緊張感が持続する。途中で全部分かってしまうのはちょっといただけないものの、少なくとも途中までは本当に楽しく観ることが出来たし、ふんだんにその特長を活かした描写が登場するため、先の読めない展開にわくわくさせてくれる。

 描写も残虐性がかなり高く、当時としてはかなり頑張ってることがよく分かる。耳に針突っ込むとか、鼻に棒突っ込んで脳みそをかき回すとか、かなり精神的にもくるシーンが目白押し。

 途中で物語の方向性が分かってしまうと後は話が流れるだけになってしまうのがちょっと残念だし、描写が残酷なだけしか売りがないこと、キャラクタ性が薄いことなど、色々とマイナス面も目に付くので、もう一歩点数を上げにくいのだけど。

(評価:★3)

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