コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ファンタスティック・フォー[超能力ユニット](2005/米)

当初、いろいろ文句を言うつもりで筆を取ったのですが、書いてる内に、「これはこれでありでね?」という気分にさせられたので、それで良しとします。 
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 本作の場合、他のヒーロー作品と比べると、大きな特徴を持つ…というか、全く特徴を持たないのが最大の特徴と言えるかもしれない。

 『スパイダーマン』以来、ヒーローの内面描写には力が入り、とても複雑なメンタリティを持たせるようになってきた。元々ヒーローは悪人をためらいなく倒す役割を持っているので、基本は単純な存在として描かれてきたが、対して新しいヒーローたちは、皆普通の人間としての痛みを知っており、普通の人間がヒーローと言う重責を負わされたときの反応が見どころの一つとなった。結果としてヒーローの内面描写に力が入れられるようになったが、結果としてヒーローの存在自身が複雑化してしまった。

 そんな複雑なヒーローをもう一度従来通りのヒーローのあり方に戻そうとしたのが本作の特徴であり、逆にその単純さが新鮮に映ったと言う事実がある。本当に本作は素直に観て素直に楽しむことが出来る作品なのだ。歴史は繰り返すとは言うが、ヒーロー作品はかなり早いスパンで単純さと複雑さが現れるものらしい。あるいはそれが多様化なのかも知れないが。

 その単純さを示すに、本作では唯一ザ・シングの例外があるものの、誰も迷わない。超人となったことを隠しもせず、依頼を受ければ即参上。トーチに至っては、その能力を楽しみで使うような真似までしてる。ある意味開き直った脚本だし、それを楽しんで作っているかのようにも見えてしまう。シングに至っても、当初こそ落ち込んでたけど、割合簡単に自分を受け入れてもいる。その悩みの薄さが陽性に拍車をかけてるのも事実で、雰囲気には合ってるみたいだし。

 結果極めて陽性な作品が出来上がったが、その陽性こそが本作の最も大きな売りで、それにきちんと応えた形がここにはある。

 奥行きが全くないので、観たそのままを楽しんでいれば良い作品。こう言うのも大切な映画の作り方の一つ。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。