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[コメント] がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン(2005/米)

ダメチーム、ダメ監督、またはダメコーチが本気になって強くなるアメリカの野球映画を、僕らは今まで何度観てるんだろう。そして何でその度に喜んでるんだろう。バカなんじゃないか。
Myurakz

**ネタバレ注意**
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 もうねぇ、これ観た。今まで何度も観た。ざっと思い出すだけでも何本も出てきます。でもそれがその度に面白いんだ。もちろん他のスポーツでも同様の映画は山ほどあるし、それもそれで充分面白いんだけど、野球映画の持つ“変化の無さ”と“気持ち良さ”の関係は特に際立っているように思えます。もうそれだったらずっと『メジャーリーグ』だけ観てればいいじゃんとか思うんだけど、やっぱりまた新しいの観て喜んでるんだな。本当にバカじゃないかと思います。

 で僕の中でその黄金パターンが最初に刷り込まれたのはいつかって考えると、1978年に東映が林寛子主演で作った子ども向けTVドラマ「がんばれ!レッドビッキーズ」だったんですよ。女性監督とダメチームがバカにされながらも強くなっていくという、これまたどうしようもなく直球のストーリーなんだけど、これって76年の『がんばれ!ベアーズ』のヒットを受けて作られた和製リメイクなんですよね。そう考えるとこの黄金パターンの源流は少なくとも僕にとってはベアーズにあったわけで、であれば今作がつまらなく思えるはずもないと。むしろご先祖様にお参りするようなものだと安心して観に行かさせていただきました。

 で出来はというと、予想通り気持ちのいい映画でした。口汚いガキどもも可愛らしいし、そのダメっぷりも楽しい。大敗→惜敗→引き分け→勝利というステップを踏むのも気持ちが乗っかるし、その辺りをダイジェストで笑わせながら観せる辺りもスゴくよく出来ています。何よりラストが勝利ではなく敗北のビールかけで終わるところが清々しくて嬉しい。プロ野球じゃないことを考えれば、あそこで負けて終わるのは主旨から考えてもスゴく正しいように思えます。

 ただ難を言うと、ストーリーがバターメイカー(ビリー・ボブ・ソーントン)を中心に据え過ぎです。全てが彼の人生や思惑のみで動いているため、そこに子どもたちのドラマが薄い。後半の勝利至上主義への流れだって子どもたちが言い出したわけではなく、失敗してそれに気付き反省するのは全部バターメイカー。だから観終わった後「あの子が素晴らしく良かった!」という決定的な“誰か”がおらず、どうしてもコーチの映画になってしまっている。黒人少年やスペイン語の兄弟などを筆頭に、もうちょっと子どもを描く時間を多く取っても良かったんじゃないかな。やっぱりキッズムービーなわけだし。

 あともう一つ、これは是が非でもお願いしたいところなんですが、やっぱりベアーズのキャッチャーはいつもチョコバーを食ってるべきだと思う。口の周りをチョコだらけにして、チョコまみれのボールを返球し、食べ終わったらポケットからまた1本出してほしい。アメリカも今や子どもの健康管理にはうるさいんでしょうけど、僕のおぼろげな記憶の中では、ベアーズと言えば何はさておきチョコバーなのです。

(評価:★4)

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