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[コメント] 野良犬(1949/日)

芝居がかった演出。(05・10・29)
山本美容室

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 黒澤明の作品はどれも演劇を映画で見ているような気がします。登場人物の台詞が芝居がかっているんです。「雀百までだな」とか。この作品には良い台詞がありますね。志村喬三船敏郎に「不運は人間を叩き上げるか押し潰すかだ」という言葉は含蓄があって良かったです。

 『野良犬』は台詞と演出が臭い所が気になります。三船敏郎が「何だかもっと嫌な事が起こりそうな気がするんです」とつぶやいたと共にゴロゴロ鳴る雷鳴の場面。志村喬と三船が電車に乗っていて「狂犬にはまっすぐな道しか見えない」という志村の言葉に続く、電車から撮影されたまっすぐに延びた線路。木村功と三船が花畑で手錠につながって荒い息をついている。そこに蝶が飛んでくる。上手い具合に幼稚園児たちが♪ちょうちょ〜ちょうちょ〜♪と歌いながら歩いていくシークエンス。千石規子と三船が夜空を見上げる場面で男がハーモニカで「ドナウ川のさざなみ」のワンフレーズをしつこく吹いているのも気になりました。

 コマのようにくるくる廻りながら「楽しいわ!楽しいわ!まるで夢みたい!」と叫ぶ淡路恵子も痛々しくて見ていられなかった。決して嫌いな作品ではないんだけど演出過剰な点が気になりました。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)寒山拾得[*] 3819695[*] ゑぎ けにろん[*]

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