[コメント] 羅生門(1950/日)
ラストがいいんじゃないですか!ラストが!!
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
人の闇を抉り出すというその行為よりも、それに反抗して見せようとした部分にこそ、僕は黒澤監督の作家性を感じました。
人の心というのは、実にままならないものです。
疑い出せばきりがありません。誰も他人の本心など分かる訳がありません。そして人は簡単に嘘をつきます。他人の気持ちを考えずに自分の都合を押し付けることだってあります。自分の自尊心を守る為に他人を殴ったりすらすることもあるでしょう。
まして正義や真実といったものすら、それはその人の価値観にのみよって立つものでしかありえません。だからもしかしたら善意で触れ合おうとしても、それがかえって他人を傷付ける事にすらなりかねないことだってあります。
そしてそれを覆すものといえば、安っぽくて青臭い、「他人を信じたい」と言うロマンしか、僕には見出せません。恐らく黒澤監督もそうだったのでしょう。
でも、人の闇を知りながら、そうであっても人を信じると言う行為は、人の闇に絶望して自らも闇の中で獣のように生きるより、余程気高く美しいとも思えるのです。
だから、駄々をこねる子供のように「それでも自分は人を信じる!」と叫んだ志村喬と千秋実に、この上ない愛おしさを感じました。
青臭くてもいいじゃない。安っぽくたって構うもんか。餓鬼っぽいからだからどうした。
僕は、人を信じるよ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。