[コメント] 蜘蛛巣城(1957/日)
黒澤明は映画を知らない、なんて言ってみるテスト。
画面の隅々から滲み出る正真正銘本物の迫力、あまりにも美しい光景、・・・・・それで?
三船の取り付かれたように追い詰められていく決死の形相、山田のこの世のものとは思えぬ妖しさ、・・・・・・だから何?
って言いたくなってしまうのだ、残念ながら。これだけの力強さ、これだけの美しさ、これだけの演技、それぞれの素材のあまりの凄さに感嘆しながら、「それで、・・・だから何?」と聞きたくなってしまう。早い話面白くないのだ。
これほどまでに凄さを感じながら、これほどまでに面白くなかった映画は、他にない。
恐らくマクベスの隙のないストーリーやセリフに対して、映画としてひたすら画面の力で勝負しようという事なんだろうと思うが、結果としてはせっかく作り出した「力」が働く先を見失って宙に浮いている。
黒澤明さんって人は凄い人だ、当たり前だが。「脚本」を知ってる、「演出」を知ってる、「役者」を知ってる。映画を作る為の様々な能力を備えていたこの巨人が、じゃあなぜこのようなもったいないお化け出現確率100%の「失敗映画」を作ってしまったのか?
それはもう「映画」を知らなかったのだろう、私はそう推測するより他ない。
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