[コメント] 狼少女(2005/日)
子役のキャラクターがそれぞれしっかり立っているし、ちゃんと芝居をつけて会話の「間」を丁寧に編集しているので、小気味良く笑える場面もしばしば。いい映画だった。
私の故郷に見世物小屋が来たことはなかったけれど、この映画の風景が自分が育った町にあまりにそっくりで驚いた。公団住宅もあれば高台の邸宅もあり、こじんまりとした平屋の借家が密集する地域もあり。川には自転車くらいしか通れない橋が架かっていて、その先には秘密基地があって。あのころの私たちにとっては、それが世界のすべてだった。
だから同じ町内でも子供らの間には明確な地域差別意識があった。「あの地域に住んでいるからアイツはどうだ」とかいう罵詈雑言は平気で飛び交っていたし、誰かのキン肉マン消しゴムが紛失すれば、いつも真っ先に疑われるヤツがいた。それが子供の社会だし、「優しさ」とか「思いやり」とかを他人に向けて表現する方法というのは、きっとそういう残酷で正直な社会の中でしか鍛えられないのだと思う。
それはそれとして、手塚さんの髪型がまた、私の初恋の女のコにそっくりなのである。そのコ(山下さん)はいわゆる学年のアイドル的なコだったのだが、ある日の放課後に偶然教室でふたりっきりになってしまったことがあった。何かひと言ふた言話したような気がするけど内容はまったく憶えていなくて、ただ西日が強烈に差していて、私は興奮のあまり鼻血を垂らしていた(たぶん山下さんは気付いていた)。あれから20年たってるわけだが、その後の私が女子を目の前にして鼻血を垂らしたことは一度もない。少年が大人になるとは、そういうことだろうか。ちがうか。
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