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[コメント] ロード・オブ・ウォー 史上最強の武器商人と呼ばれた男(2005/仏=米)

大量生産と大量殺戮の過程をグログロ(グロテスク&グローバル、或いは黒々)に描写した作品。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
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石川五右衛門が秀吉に処刑される際に「本当の大泥棒は天下を盗んだ秀吉だ」と言い放った逸話は有名ですが、本作はその図式に近い。 ただ、五右衛門も秀吉も庶民派だったので、本作のユーリーとブッシュとでは志が正反対。ユーリーが罰せられずに解放されたってのも正反対だ。 酷い世の中だってのはよーく判った。

そんな中、相棒の弟が庶民派の位置づけで描かれており、無味乾燥な本作にあって、この部分が唯一ドラマになっていたけれど、身を挺した弟の体内に残った一発の弾丸も無意味に終わって肩透かし。主人公は葛藤しないから、兵器を平然と売れてドラッグにもおぼれないということなんでしょうが、冷酷かというとそうでもないようだし、彼の心を意図的に演出していないようでいやらしい。

金属片から弾丸への製造工程と輸送を経て少年の頭に撃ち込まれるオープニングや、山済みされた在庫(兵器)の再利用など、大量生産と大量殺戮の過程をグローバルに描写した作品でしたが、シニカルなメッセージはこめられているものの、悪をさほど糾弾した訳でもなく、その描写をコミカルに描いている気配すらあり、困ったものだ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)jean けにろん[*] わっこ[*]

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