コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ディック&ジェーン 復讐は最高!(2005/米)

ジムが本業の芸で相棒をはじめて置いた貴重な作品。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ジム・キャリーは今まで一人芸ばかりだったので、これまでジムの芸に合わせ打てた俳優も女優もいない。それはそのままジムの芸が如何に至宝であるかの証明になっているのだけれど、本作ではジムと対等に近いレベルにティア・レオーニを配した。それがプラスだったかどうかはともかく、初めてのことだと思う。

ちなみに『ふたりの男とひとりの女』のレニー・ゼルウィガーや『ブルース・オールマイティ』のジェニファー・アニストンもいい味を出していたけれど、いずれも受けの立場でお笑いの相棒ではなかった。

もしかしたら、ジムはこれからピンから共演への路線変更を考えているのだろうか? と言うのも、ジムお得意のお馬鹿コメディ路線じゃないけれど、前作の『エターナル・サンシャイン』のケイト・ウィンスレットとの組み合わせにもそれを感じていたから(私的にはこの作品はジムがケイトと脚本に合わせ打っていた感じが否めなかったので物足りなかった)。

そんななか本作のティア・レオーニは、ジムに合わせて顔芸もこなしたし善戦していたと思う。正直、あれ以上は有り得ないでしょう。逆にあれ以上やれるコメディアンヌだったら別の女優がキャスティングされていたと思う。ティア・レオーニーのキャスティングは『バッドボーイズ』でのウィル・スミス、マーティン・ローレンスと組んだスローなアクションが決め手になったような気がする。美人系で天然、切れがよさそうでドジ。そんな感じが。

アダム・サンドラーなら最近の『50回目のファーストキス』のように相棒(ドリュー・バリボア)においしいところを譲って、尚自分も活かすことができるタイプなのだけど、ジム・キャリーにそれは無理。それは『ライアーライアー』のエンドロールのNG集でも証明されている(ジムの演技がアドリブなのかNGなのか理解できず、他の役者が演技を続けてしまう様、笑ってしまいます)。だから、ティア・レオーニぐらいがちょうどいいのです。

さて、本作へのコメントに移ると、家政婦と息子を使ったメキシコネタが一番笑った。だって、家政婦が息子にスペイン語を教え、息子がスペイン語を常用語としているのに何も感じない家庭が在り得ますか? その家政婦はジムのことをお馬鹿さん(Retarded)と呼んだりしてるのも、この単語はスペイン語でも英語でもほぼ同じ発音なので笑える、つーか、ジムが家政婦に愛されている雰囲気が伝わってきます。そして、その縁でメキシコの不法就労者と仲良しになって、逮捕されてしまう。ジムがアメリカ国民だと主張するので当局が自宅に掛けた電話に応じたのが息子の「オーラ(スペイン語の挨拶)」。すんません、ここ大爆笑してしまいました。

私的に笑いのピークはここまでで、2人が強盗始めたところからは、『ナッシング・トゥー・ルーズ』『バンディッツ』なんかにありがちな悪乗り小ネタの連続。強盗はティア・レオーニの超ずっこけで笑った以外は笑えず。 親友の逮捕で強盗に終わりを遂げる(その親友は禁固刑のままラストにいたる)のは「はぁ?笑えないぞ!」な展開でしたが、後半からラストに掛け、経済について能天気な発言をするブッシュの映像を入れたり、寄せ集めの芝生を創ったり、微妙に「社会風刺」しているのが、なんか作風と違う感じで気にはなった。不法就労ネタまでは良かったんだけど。。。

そんなやな感じが案の定で、すっきりしない落ち。いつの間にか詐欺映画になっちゃたし、社長の財産を奪った挙句、悪人を善人に仕立て挙げるなんて、なかなか通な落ちじゃぁないですか! 究極のほめ殺し! とでも評したいところですが、そこまで私はシニカルじゃないや。 このすっきりしないエンディングは久々です。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)ガリガリ博士 けにろん[*] リア[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。