[コメント] 隠し砦の三悪人(1958/日)
『椿三十郎』と並んで最も魅力的な黒澤作品。シネマスコープの大画面に、戦乱・決闘・馬・姫・隠し財宝・身分・差別・友情・お色気・男勝り・笑い・自己犠牲・階段落ち・忠節・策謀・汗・山頂など冒険映画の醍醐味が全て含まれていてそれ以外の余計なものが余り無い。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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上原美佐が砦の山頂で泣きながら、秋月の旗が被さるショットを見て、相変わらずクロサワはださい演出しやがる、と思うたのだが、上田吉二郎と奴隷少女の登場する酒場のシークェンスで、怒りをかみ締めなが三船と目を合わせる彼女の姿を、ただ後ろからだけ撮り収め、三船の表情だけで彼女の内情を表現するウルトラショットで、一気に汚名挽回した。その後の少女の姫への忠勤の数々はいずれも涙ぐましく、「姫は私です、姫は私です」という名台詞も含め、本当に可愛い子だなぁと感情移入しまくった。
馬や槍を使ったシーンの出来栄えも、同時代のハリウッド大作以上と思う。
千秋と釜足については今更、私のような若造が褒めるまでも無いだろう。本当に素晴らしいよ、二人とも。歩いてるだけで、寝てるだけで、君達は面白いんだ最高です。
佐藤勝によるこの二人のテーマ音楽(=ほぼ全編)も素晴らしかった。火祭りのミュージカルシーンも、ラストの能+ドラムロールも、映画音楽家としての着実な成長と才気を再確認させるに充分な出来栄えだった。
最期に、配役も最高だった。脇役のことである。
冒頭の三井弘次も、あれだけなのに凄い存在感だったし、酒場の吉二郎&沢村いき雄の遣り取りも面白かった。金を運ばされた挙句悲劇的な運命を辿る足軽谷晃もナイスだった(もう一人、堺左千夫は地味だったが)。一行を出迎えたのが、やっぱり土屋嘉男だったのも嬉しかったな。
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