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[コメント] 最終兵器彼女(2006/日)

わざわざ実写にすることで価値を失ってゆく漫画の映画化…この言葉を何度耳にし、口にしただろう。これもその例外ではない哀しい凡作である。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ヒロインにまずガックリくる。前田亜季は正統派のきりっとした美少女であり、原作のドジさが憎めないドン臭い少女の面影はない。ゆえに、彼女が戦場に立つときに見せる別人のように冷酷な表情は、映画では大きなインパクトを与えてはくれない。何より、北海道なまりはどうしたのだろう。これで観客は大体どのあたりを舞台にしているのかを、字幕なしで知ることができるし、一番の理由を言えば標準語のギスギスした感じは、ヒロインの魅力を損なって余りある。

そして、SFか否かということ。原作者高橋しんはおそらく、SFのつもりでこの作品を描いたのではあるまい。そこで、飛行時に現れる翼や腕から飛び出す攻撃兵器は、実写で見るとここまでリアリズムを欠くかを思い知らされる。ラスト近く、世界から発せられた核ミサイル(この世界を敵に廻した日本とか、最強の日本製最終兵器という設定はやはり漫画ならではだ)を葬るべくヒロインが変形した巨大兵器など、軍事オタクでなくともファンタジックに過ぎる外観に失笑を誘われる。

結局、観る前から充分過ぎるほどに理解していたことなのだが、この作品は実写映画化不能の作品群のひとつなのだ。少女を最終兵器に改造するというアイディアが、既に漫画・アニメならではの発想であり、成功し得る要因であるのだから。

念のためにだが、ラブ・ストーリーとしては軍事描写に時間を押されておざなりになってしまい、きわめて単純で陳腐なものになってしまったことも付け加えねばなるまい。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)アルシュ[*] Lunch 4分33秒[*] tkcrows[*]

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