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[コメント] エリ・エリ・レマ・サバクタニ(2005/日)

生音を収集しノイズミュージックを作り上げる行程は、ドキュメンタリー映画に似ている。対象にカメラを向けた時点で作家の主観(作家性)が生まれるように、ホースを振り回すというアイディアが浮かんだ瞬間にそれは「音」から「音楽」になる(たとえそれがノイズであっても)。
shiono

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







音楽は言語に比べると抽象的かつ感覚的で、文学のような物語性を持たない。たとえそれがドラマチックな歌詞のポップミュージックだとしても、私たちはそれを客観的な物語としてではなく、歌唱者から発せられる一種のメッセージとして捉える傾向がある。

プロモーションビデオやライブ映像はもちろんのこと、上記のような意味においてすべての音楽はノンフィクションといってよく、ミュージカル映画のミュージカルシーン、歌謡映画の歌唱シーンが急に現実味を帯びて感じられるのもそのせいだと思う。ところがこの映画の大草原の演奏シーンは、作品世界の物語性に取り込まれ、フィクションとしての音楽が成立しているかのように見えないこともない(爆音で聴いてみたいものだ)。

ただ、お話の内容も幼稚だし、風景は美しくても映像に力がない。過去の女のエピソードもくだらないし。いろいろなものを殺ぎ落として『Jam Films』の一遍くらいに短くしたらずっとよかったかも。

(評価:★3)

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