コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 大人の見る絵本 生れてはみたけれど(1932/日)

力関係。(05・7・02)
山本美容室

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 1932年(昭和7年)と言えば親父がまだ二歳の頃の映画である。今の子供も昔の子供もそんなに変わってないと思う。あの砂利道の風景は、昭和40年代までは残っていた。

 「誰の親が一番えらいのか」という話はした記憶がある。親父は小学校教師だったので「えらい」という事になっていた。社会に出てみると「えらい」という基準があやふやなものだという事がわかってくる。

 給料をたくさん貰っていても「えらくない人」自営業で毎月の遣り繰りに必死になっている「えらい人」さまざまである。

 見ていて思ったのは「子供の社会」も「大人の社会」も微妙な「力関係の均衡」で成り立っている事だ。転校生とガキ大将の立場が「雀の卵」を持っているかいないかで逆転してしまう。「大人の社会」の場合は『秋刀魚の味』の東野英二郎とかつての教え子達との関係で残酷に描かれている。

 齋藤達雄が「お金が無くてもえらい人はいる」といっても子供達には分かり様が無い。子供達は、日々変化していく厳しい「力関係」という日常で生きているのだから。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。