[コメント] 大人の見る絵本 生れてはみたけれど(1932/日)
お父ちゃんはいつだって偉かった。
悪いことをしたら、父ちゃんに怒られる。 先生より何より父ちゃんが怖い。地震雷火事親父とはよく言ったもの。
でも同時に、父ちゃんは優しい。そして強い。 父ちゃんは一家の中心だ。母ちゃんは、父ちゃんが帰ってこなければご飯を食べさせてくれない。 たしかサザエさんでも、こんな世界が広がっていたっけ。
翻って現在。父親はどんどん家の中で立場を失っている。 中学の娘にも鬱陶しがられるし、夕飯は「外で食べてこなかったの?」と非難される始末。父ちゃんは寂しかろう。
この映画の中の父ちゃんは、家では強くて怖い父ちゃんであった。それだからこそ、子供たちは外で道化役を演じる父ちゃんを許せなかったのである。現代だったらどうか。父ちゃんは、ますます馬鹿にされるだけであろう。
外では平社員だとしても、家では立派な大黒柱なのだ。会社では窓際だったって、家にはちゃんと居場所がある。待っている人がある。尊敬してくれる人がある。だからこそ、父ちゃんは偉いままでいられた。道化を演じていても、それを最終的に理解してもらえたのだ。
そしてそれは、いつの時代でも変わらないはずの価値ではなかったのか。この映画を見た後、現代を振り返って覚えるこの切なさは何だろう。世の中の父親よ、頑張れ。お父ちゃん、ありがとう。
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