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[コメント] 大人の見る絵本 生れてはみたけれど(1932/日)

映画はサイレントの時点で既に頂点に到達していたのではないかと思わせる、豊かな豊かな時間の映画。一両編成の列車が何度も画面を横切り、その度毎に映画におけるリアリズムのあり方を私に突きつける。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 子供達の原っぱでのやりとり。指さしたら相手が倒れ、胸で十字を切って手のひらを拡げて突き出すと起きあがるゲーム。雀の卵。「おなかをこわしているので物をあげないで」という貼り紙を背中にした男の子。活動上映会の斎藤達雄のバカ顔。もう堪らない豊かなイメージの連鎖だが、私が最も心を打たれるのは上映会の夜、子供達を叱った後の夫婦の情景の繊細さだ。二人して子供達の寝顔を見るカットで決まって目が潤んでしまう。翌日、庭で椅子に座っている子供達へおむすびを渡す豊かな朝の時間表現も比類無い。

 野外でも室内でも小さな移動撮影のカットが目立つ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (8 人)緑雨[*] Santa Monica[*] 3819695[*] Keita けにろん[*] 町田[*] ぽんしゅう[*] tredair[*]

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