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[コメント] 機動戦士ΖガンダムIII 星の鼓動は愛(2006/日)

誰も彼も顔をつき合わせるや否や喧嘩が始まるギスギスした人間関係。敵味方の判別も出来ない三つ巴の抗争。相次ぐ裏切り。戦闘中に観念的な議論をぶつけ合い、挙句に発動するオカルト不思議パワー。嗚呼この鬱加減、この風、この肌触りこそZガンダムよ!
たかやまひろふみ

シャアとアムロが「英雄」として邂逅する映画版の第一部を見た時は、娯楽作品と呼ぶには余りに破綻した『Zガンダム』という代物が、20年の時を経てポジティヴなエンターテイメントとして書き換えられるのかと興奮したものです。かつて「皆殺しのトミノ」と呼ばれた芸風はなりを潜め、近年は『ブレンパワード』『』『キングゲイナー』と尻あがりに明るい物語を描くようになった富野監督であれば、こうした期待もあながち筋違いではあるまいと思ったのです。

しかし第二部に続いて、この第三部もTVシリーズの持つ負の要素を忠実に受け継いでいます。ラストを含め部分的な改変は施されているのですが、それでも全体の陰鬱なトーンが払拭されているとは言えず、むしろ長ーいTVシリーズを圧縮することで短時間にダウナー系イベントが頻発し、見ているコチラの疲弊感も大概なものになっています。

終わってみればドッチラケ、修正史観は罷り通らず元の黙阿弥と言ったところでしょうか。個人的にはこんなリメイクを望んでいたわけではなく、脱力して映画館を出たわけですが。

まーしかし儚いお祭りとは言え、かつての熱を一時的に蘇らせてくれたことに感謝の念もないわけではなく。富野監督には「お疲れ様でした。いい夢見させてもらったぜ。フジャケルな金返せ!次はガンダム以外の作品で全力投球お願いします」と言いたいところです。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ペンクロフ[*]

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