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[コメント] 間宮兄弟(2006/日)

「お前ら、まるで子供だな」の一言を封じ込めてしまうほのぼのとした肯定力。じゃあ「どこまでが子供で、どこからが大人なんですか?」って、聞き返されそうな不思議な説得力。多少バランスが悪く見える者たちをポジティブに描くとき森田ワールドが全開になる。
ぽんしゅう

独自の価値観を宝物のように大切にしたり、特定の物事に執拗にこだわったり、限られた世界の中だけで行動するのは、確かに子供っぽい。じゃあ、多様な考え方を受け入れ、さまざまな事柄に目を配り、いろんな人たちと交流するのが大人っぽいのだとしたら、こんなに疲れる生き方もない。事実、大人の生き方を続けるのに、本当はみんな四苦八苦しているのではないか。

といって間宮兄弟たちが、いつも幸せ一杯で人生を謳歌している分けでもない。彼らには、彼らなりの悩みや迷いが当然のごとくあるのだ。大人らしさを意識して保ちつつ生きることも、子供のような大人として生きることも、楽しさと苦しさの質が少し違うだけで量はきっと同じなのでしょう。どちらを選ぶかは、その人しだい。つまりは、どっちでも良いのです。

私の中では、当たり外れの大きい監督ベスト3に入る森田芳光だが、この手の世間の常識からすると多少座りが悪いが、ちゃんと世間の一員として存在し機能している人たちを、暖かく、さらりと肯定してみせる映画を作ると抜群に上手い。どこぞでは評価の高い『それから』や『(ハル)』にいまひとつ乗れない私は、久々に(本当に何年ぶりだろう)、『ライブイン茅ヶ崎』から始まって、『の、ようなもの』、『『家族ゲーム』、『キッチン』、『愛と平成の色男』へと至る森田ワールドを大いに堪能させてもらいました。

(評価:★4)

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