[コメント] 非常線の女(1933/日)
俯瞰から始まって田中絹代が登場するまでのオープニングの一〇ショット。あまりの格好よさに気を失いそうになる。だから話はほとんど覚えていない。
二、三の歩行者を小さくとらえた俯瞰、時計、壁にかかった帽子、帽子の落下(カッティング・イン・アクションで!)、タイピストの背中が並ぶトラッキング。このような格好よすぎるイメージの連鎖に始まりながら、これに劣らない格好よさに溢れたショットが最後まで続く。
この格好よさとは「西洋的な風俗」などという表面的なものでは断じてない。その類の格好よさは畢竟「東洋人が西洋的な風俗に包まれている」気恥ずかしさや滑稽さを免れえないだろう。『非常線の女』の格好よさとはもっと本質的な、と同時にさらに表面的な、映画における普遍の格好よさなのである。
ほんと、至福の一〇〇分間です!
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