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[コメント] 早春(1956/日)

しょぼくれた池部良笠智衆に見えてくるそれが小津マジック。
町田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







それにしても凄い面子。各社・各劇団選りすぐりのオールスターキャスト。

主演の池部、淡島は勿論、下記の中北、キンギョ(或いはハンニャ)の岸、淡島の母・浦辺粂子、そしてノンちゃん高橋貞二は特に素晴らしかった。

しかし、2時間を越える長尺を一瞬たちとも退屈せず見れたのは、そのためだけじゃない。

好きな台詞が多い。

淡島千景とその友人中北千枝子が蒲田の杉山宅でアイロンをかけながら交わす会話。「これ壊れてるじゃない」「あら、でもそれでもまだ間に合うのよ」「間に合っている、って退屈よね」「・・・。」とか、凄く好き。

ラストの仲人笠智衆からの手紙の文面も真心が篭っていて全然うそ臭くも教訓臭くもない。

ただこの映画のイカンところは何度も繰り返されるサラリーマンぼやき節が観念的過ぎていて実感が篭ってないこと。池部も山村も東野も、自己のサラリーマン人生を他人事のように、まるで苦労知らずの学生のように話していて、非サラリーマンの俺でさえ聞いていてゲンナリした。

あと意味不明のハイキングシーンと送別会などで歌われる唱歌の数々。

「ねぇ、蛍の光。」「もう一回歌いましょう!」「せーの」

センス無ぇ〜。

でも、好きな作品。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)irodori けにろん[*]

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