コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ハチミツとクローバー(2006/日)

結果よりは、そこに至るための過程を描くべき物語もあるだろう。終わっていないストーリーのその時点の解釈によるケリのつけ方は、もう少し考えてほしい、の一語だった。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この物語では、演出次第で魅力をつけられる竹本は一番面白くない傍観者に堕していると思うし、その恋の成就にもほとんど関心をかき立てられなかった。

むしろヘタレでない、マッチョさを付加したようなジョン・レノンである森田と、純情さ・可愛らしさを大幅に加えられたオノ・ヨーコのような「はぐ」の方に視線は移ってきてしまうし、天才同士の衝突を期待させられてしまう。(はぐは安っぽい「不思議ちゃん」ではなく、森田作品の欠点をグサリと突く爽快な一面も兼ね備えているのだ)。

それに対し、この時点で竹本ははぐに何も学友以上のことはしていないし、まだ恋の入り口をウロウロしているあたりが関の山だ。そんな彼が先輩にラストで仲を取り持ってもらうのは全く展開が甘すぎる。もう幾皮か剥けた頃でよさそうなものだ。(もっとも、最後にもたらされるはぐの肯きが、竹本の何に対してなのか…あるいは全面肯定なのかによっても、その後は違ってくるが)

ちょっとこの話は、そんなわけでダイジェストとしても作品の魅力を伝え切っていない印象が自分には見受けられた。それと、いやしくも映画としておろそかにして欲しくなかったことは、独りひとりの生活感だ。汚さや臭さを避けて通っていては、三文ロマンスの域を出られまい。そのあたりが男女群像劇の難しさなのだろうが。

音楽に菅野よう子大活躍なのは、今更ながら嬉しかった。

余談。はぐみってHug Meの意味をこめてつけられたんだろうか?このへんは古いファンに聞いてみたいところ。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (7 人)カルヤ[*] ペペロンチーノ[*] おーい粗茶[*] TOMIMORI[*] tkcrows[*] のの’ まりな[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。