[コメント] ダスト・トゥ・グローリー(2005/米)
最初の50分ぐらいはレーサーたちが入れ替わり立ち代わり延々とバハの素晴らしさを語り倒すことに向けられ、レースの内容は細切れ状態なのでだんだん飽きてくるのだが、トップ争いをする二輪車をヘリで空撮するシーンが始まってからは目が釘付けになる。それからはあっという間だ。
過酷なレースを勝ち抜いてきたツワモノどもの言葉だけあってどれも含蓄に富み、(何の役に立つねんと思いつつ)思わずメモしたくなる。時にユーモアも交えつつ熱く語って、一流の者は語る言葉もやはり一流で、簡潔で的を射ているなあと感心することしきり。
「バハでは"バカでもいいからタフであれ"」など日本語としての語呂もいいし名言だろう。
とりわけアンディによる以下の言葉が印象深い。
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レースをしてて何かを超越したと感じる時がある。
勝ったレースが自分の中でベストだとは限らない。
我々は走りの中に自分を見い出す。
そんな時周りが混乱してても走りはスムーズだ。
台風の目の中にいるように静けさに包まれている。
マシンにうまく乗れて恐怖なんかまるで感じない。
転倒なんて言葉は頭から消え去る。
あとになって"今回も命は無事だった"と思い返す。
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"火事場の馬鹿力"とはよく言うが、人間が本当にあることに集中するとこのような奇跡のような瞬間が訪れるのだ。この映画と比べると非常にスケールの小さい話で恐縮だが、僕も少し覚えがあって、高校の卓球県大会で周囲が絶対に勝てっこないと思っていた相手から1セットだけ取ったことがあって、あの時は我ながら神がかっていたと今でも思う。打つ球打つ球すべて台に入ってあれよあれよと言う間に1セット奪取。結局、試合には負けたけど、自分でも信じられない力が出た瞬間というのは生涯忘れられない記憶として残るのだ。そういった記憶を少しでも多く残せることができたら充実した人生と言えるのではないだろうか。などとこの映画を見ながら思った。
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